
アジサイが咲いている。
そんな季節だ。
可哀そうに、アジサイが陽の光に照らされている印象はない。
梅雨時の花だから、さもあらん。
冒頭写真のアジサイの名前が面白い。
見てそのままの、
《花火》
ドカンと開いた花火の瞬間に似ている。
開いたあげく、端っこで、またひらく。
あるいは、線香花火の最後の、《松葉》にも似ている。
チッチッっとはじけるさまにそっくりだ。
アジサイたちに囲まれると、その立体感に圧倒される。
盛り上がるという、サンゴの盛り上がりにも似た、
ボリュウムを感じる。
ゆえに、風に揺れる、か弱い花ではなく、
モクモクと盛り上がる入道雲のような躍動に、
力強さを感ずるのである。
ブロッコリーに似ているという人もいるが、
そうは思わない。
ブロッコリーは、メが詰まりすぎている。
アジサイは、花の適度な隙間が、
涼し気な気分を僕らに与えてくれるのだろう。
できれば、その涼しさを夏の盛りまで保っていただきたいのだが、
その頃には、くったりしおれてしまう。
少しだけ、
後ろに季節がズレてほしかった花である。