即興をさせれば、その人の資質が出る。
その昔、40年ほど前、
つかこうへい事務所で、芝居をしていた頃、
稽古場で、つかさんが、のたまう。
「動け!」
レコードに針を落とし、音楽がやむまで3分ほどの時間、
好きなように動けと命ずる。
石丸がすき勝手に動き回る。
ダンスでもあり、パフォーマンスでもあり、パントマイムである。
とにかく自由。
ある日のこと・・
つかこうへいさんが、のたまう。
「しゃべろ」
それだけである。
何を、などのテーマはない。
《〇〇についてしゃべる》という設定を与えられれば、
人は、枠をはみ出さずに、
なんとか自分の囲いを作っていられるものだ。
しかし、これから何をするのか分からない状態で、
「しゃべろ」と一言・・・
けいこ場の人前に、一人立たされている。
思いついた事をしゃべりだす
いつ終わるともなく、しゃべり続ける。
この時に、その人の資質がバレる。
即興というライブの中に放り込まれると、
自分を隠しようがなくなる。
性格だの資質だのがバレてしまう。
役者という、
バレてしまってもしょうがない職業を、
選んでいるのだから、文句は言えない。
自尊心だのプライドだのが要らない人たちとも云える。
必要なのは・・・ここで、
つかこうへい氏の言葉を借りよう。
「
何を美しいと思うか、何を恥ずかしいと思うか、
それだけだ」