
《車中泊》
こんな看板がある。
ところは、北海道。
日本広しといえど、「車の車中泊はこちらです」と、
矢印までしてご案内しているところはない。
今、日本中、オートキャンプ場が花盛りである。
20年前とは比べものにならないほどの施設充実ぶりを見せている。
そんな中、なぜか北海道では、
一般道の途中に、自由に駐車していい広場を設けてある。
トイレもある。
なんせ広い北海道だ。
ちょいと隣町に行こうにも、距離が長い。
仮眠をとらなければ、辿り着かないほど遠かったりする。
そうそう簡単に、道の駅が造れないので、
駐車場の広いのをこしらえて、
どうぞ勝手に利用してくださいとばかりのサービスだ。
そこに、旅人たちが集まってくる。
キャンピングカーもやってくる。
ちょっと大きめのワゴンで、車中泊をする方達もいる。
その昔、《車中泊》と云うと、
夜逃げをした家族的な響きがあった。
駐車場や野原の隅っこで、
コソコソと暗いうちに眠り、
明るくなったらいなくなるような後ろめたさがあった。
しかし、今は変わった。
車中泊はドウドウとしている。
「コレは、キャンプなんだ!」という哲学にのっとって、
家から、フカフカの布団を持ち運んで、眠っている。
車も、虫よけ対策だの、日よけ対策だの、防犯対策だので、
屋根に載せた対策グッズの自慢披露会場のような趣がある。
最近は、軽自動車による車中泊もはやっているようだ。
一人なら十分の広さだし、小回りは効くし、
なんといっても燃料代が安い。
高速道路代も安い。
フェリー代も安い。
車検も安い。
自動車税も安いし、任意保険も安い。
そういえば、マイナス20℃にもなる八甲田の山中に、
冬の間、スノボー目的で、軽のワゴンに
ずっと寝泊まりしていた猛者にも出会ったナ。
大雪が降ると、車ごとカマクラのようにうず高く埋まり、
空気穴だけあければ、
それなりに暖かいのだと、豪語していたが・・
彼はその後、無事だろうか?
一週間に一度、軽を掘りだして、街まで買い物に行き、
買ってきた食糧は、車中が冷蔵庫のように寒いので、
保存が効くのだと自慢していたが・・
無事だろうか?
ふとんは、上下一枚づつで、小さく丸まって、
じっと我慢しているのがいいんです・・と語っていたが・・
ほんとに無事だったろうか?