三浦かるた 《と》
とんびに
ランチを
さらわれる
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《トンビにあぶらげ》という言葉がある。
いつできた言葉か知らないのだが、
おそらく油であげる食べ物ができた頃だろうから、
江戸時代かもしれない。
三浦半島の海岸地帯には、無数のトンビが飛んでいる。
晴れた日には、大空高く、舞い上がっている。
アレは、空を飛びたくて飛んでいるのだろうと思っていたのだが、
どうやらそうではないらしい。
常に獲物を見つけるべく、空を巡回しているというのが正しいようだ。
トンビなどとトボケた名前を付けるから、
呑気なイメージがあるが、奴らは猛禽類である。
タカやワシと同じと考えた方がいい。
いや、
タカの素早さに加えて、
盗人のせこさを備えたと思いたい。
堂々と飯にありつくのではなく、
《あわよくば》的な、盗み食いを信条としている節がある。
その証拠に、常に
人の背後からかっぱらう作戦にたけている。
三浦海岸の浜辺で、弁当などを喰らっていると、
背後から、風よろしくトンビが飛来し、
オカズをかっさらってゆく。
獲られたのは、フライかカツだ。
つまり、油であげたモノ。
いにしえの人が言い伝えた言葉は正しかった。
《トンビにあぶらげ》
奴らの言いなりにならない為には、
食事時の姿勢に工夫がいる。
《まえかがみ》
弁当を体のまえに抱え込むようにして、
一見、
卑屈な態勢をとる。
トンビは、真上からは襲ってこない。
必ず背後から襲来するので、
自らのからだを壁にする。
ちょっとお茶を飲む間に、
お弁当を体の横に置くなどはもってのほか!
よもや、箸でコロッケをつまんで、
目の前でしげしげ眺めるなどという行為は、
トンビを挑発している。
バシッ!
20m以上離れた空から、一瞬でアナタの弁当まで飛来する。
一瞬とは、1~2秒と思っていい。
常に、卑屈な姿勢をキープする。
トンビのいる浜辺で弁当を食べるなどという、危険行為。
たとえるなら、マイクタイソンの横で、
ヌンチャクを振り回しているようなものである。
ベストの防御グッズは、
ビーチパラソル!
なければ、雨傘を背中にさして、お昼ごはんを食べましょう。
干しワカメ