ガ~~~~~~ン!
稲積水中鍾乳洞で発したばかりの擬音を、
数日後に、また発してしまった。
そこは、日本100名山の《筑波山》つくばさん。
茨城県の名峰である。
又の名を、《紫峰》しほう、とも言う。
山を降りてきた頃になって、ハッと気づいた。
ICレコーダー(録音機)が無い。
昨年から、山に登る際に必ず持ち歩いている機械だ。
鳥の声や、様々な音を録音して、ラジオ山カフェで、
披露したりしている。
これまで、50以上の山で活躍してきた。
その録音機が、無い。
どこに持っていたのかと云うと、
リュックの腕を通すベルトに、ポシェット状の入れものを付け、
マジックテープで開け閉めするようにしている。
片手で簡単に取り出せ、すぐに仕舞える。
「あっ、鳥が鳴いてる」
と分かってから、録音を始めるまで、2秒以内に反応できる。
なかなかの優れたシステムだと自負していた。
ウエスタン映画のガンマンが、秒殺でピストルを抜くように、
私は、録音機を抜いていたのである。
抜かれた鳥も驚いたに違いない。
(なわけない)
さあ、そんな時だった。
「録音機がない!」
気付いたのは、筑波山の山頂を過ぎ、降りも降りた頃だった。
下山路は、登ったコースとは違う。
いったいどこで落としたのだろう?
何度か、リュックを脱いで、地面におろしたものだった。
おろされたリュックは、ゴロリと裏返り、
マジックテープの開口部をあらわにする。
そのいずれかで、中身が飛び出したにちがいない。
ガ~~~~~~~ン!
幸いなことに、その中に、録音されたモノはなかった。
テレビの収録だった為、自分で録音を全くしていなかったのである。
さらにハタと気づいた。
その録音機の写真が一枚もない。
一年半、頑張って働いてくれたマシンの記録がないのである。
そして・・
デジカメと録音機はすぐさま新しいのを買い求める事となった。
私の仲間であるマシンたちは、ほんとに過酷に耐え、
日夜よく働いてくれる。
ありがとう!
筑波山ケーブルカー