三浦かるた 《ぬ》
ぬるぬるおいしい
アカモク大王
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アカモクをご存じだろうか?
秋田県あたりでは、《ギバサ》と呼んでいる所もある。
違う種類という説もあるが、粘る海藻であることに違いはない。
世の中に、粘る食べ物があまた存在するが、
私の知るかぎり、アカモクほど粘る食べ物はない。
納豆、オクラ、山芋、モロヘイヤ、つるむらさき、
あまたの粘る食材と徒競走をしても、
ダントツの粘りで優勝をさらう。
なんせ、アカモクをかき回している最中に、
箸で持ち上げると、玉になって、宙に浮くのである。
この芸当ができるのは、アカモクだけである。
三浦半島の海岸には、このアカモクが大量に生息している。
海底の岩に根をはりつけ、5mも10mもの長さに伸び、
干潮時には、海面で長くなびいている。
船のスクリューに絡まると、脱出できなくなったりする。
2~4月頃には、海岸に打ち上げられている。
早朝拾い、家に持ち帰り、大量の湯でゆがく。
この時に、茎の部分をなるべく取っておかないと、
食べるのに苦労する。
さて、ゆがいたアカモクをマナイタの上で包丁で叩く。
トントントントン、
二本の包丁で、打楽器のように叩くと効率があがるし、
面白い。
バリ島の民族音楽でも流しながらやりたい。
食べる前に、ここに卵黄を落す。
すると、ネバリはさらにきつくなる。
箸で持ち上がる。
ところで、かるたでは
アカモク大王と称している。
何が大王なのだろうか?
私はしばしば、アカモクの生息する海域を、
シュノーケリングしている。
海中を進んでいると、突然、ヌオ~~とばかり赤黒い森が現れる。
それが、アカモクだ。
あまりのおどろおどろしさに、非常に驚きパニクリかける。
ジャングルの中で、魔王に出会ったような驚きとも言える。
ゆえに私的には、
アカモク魔王の方がしっくりいくのだが・・
持ち上がる アカモク