山道のクモの巣が気になる。
山道とは、人間が通る道である。
朝一番に、山道を登っていると、冬以外は、
確実に、クモの巣にひっかかる。
その日最初に登った人は、まぎれなく引っかかる。
ゆえに、先頭の人は、棒切れを振り回しながら、
登らなくてはならない。
時折、横着をして、振るのを怠ると、
顔に糸がひっかかり、不愉快な気分になる。
っと、そんな時だった。
先頭の私の頭に疑問符が浮かんだ。
《クモは、学習をしないのだろうか?》
この道は、毎日人間が歩いている。
多い日には、数百人、少なくとも数十人。
歩かない日は、ほとんどない。
なのに・・・である。
毎夜中に、せっせと同じ場所に巣をこしらえる。
その巣が役に立つ昼間の時間帯には、
必ず、人が壊しにやってくる。
来る日も来る日も、苦労して巣を造り続けて、
そのたびに壊される。
壊されない日はない。
山は広い。
なにもこんな所に特化して、
巣を造らなくてもいいのではないかと思われるのだが、
なぜか、クモは学習しないらしい。
「いえ、あの山道が少し広くなっていて、
虫を捕らえやすいんですぅ~」
仮にそんな意見が、クモ側から漏れたとしても、
おそらく
捕らえやすかった日は、
ほとんどなかったのではないか。
雨でも、人は登る。
人が登らないのは、台風の日くらいである。
台風の日は、虫は飛ばない。
それとも・・・
毎日、違うクモが巣をつくっているのだろうか?
藪こぎ