スポーツクライミングの大会会場に行くと、
競技中に気になることがある。
ドンタタドンタタ
音楽が流れている。
結構な音量で流れている。
歌はない。
ドラムリズムとビートが、ドンタドンタタ、腹に響く。
まるでディスコだ。
うるさいと言えば、うるさい。
しかし、これはあるモノを防ぐために、仕方がない事なのだ。
クライミングとは、
いっせいに全選手が登る訳にはいかない競技である。
一人づつが、壁にとりつく。
よって、オブザベーション(下見)を済ました選手たちは、
裏の部屋に隔離される。
携帯電話も持参してはいけない。
情報がかなりのウエートを占める競技ともいえる。
オブザベーションだけでは分からなかった事を、
競技中に選手に伝えられたら、これは有利だ。
「アノ石を右手でとる」
などの情報を知っているかどうかだけで、
相当の利点となる。
となると、選手が登っている最中に、
仲間が言葉で伝えればいい。
(伝えるのはルール違反なのだが)
特に国際大会ともなれば、それぞれの母国語でしゃべれば、
何を言っているのかわからない。
例えば、大阪弁で、
「そっちちゃうで、でんぐりがえりでっせ!」
こういう伝え方もある。
日本語が多少わかる外国人でも、なかなか理解できない。
日本選手が、海外でゲームをする時も同じだ。
そこで、これを防ぐために、音楽が流されている。
ドンタタドンタタドンタタドンタタ
声はかき消される。
その上、司会者のハイテンションの盛り上げトークも響く。
人の声は届かない。
あくまで不正防止である。
不正をするものなど、いないのだが、
やろうと思えば、できるという事で、
万全策をとっている。
会場内、大声で届く言葉はただひとつ・・
「ガンバ!」
がんばれと言う意味である。
クライミング界で世界共通言語である「ガンバ!」
大阪では、サッカーファンが喜ぶと聞いた事がある。
子持山(こもちやま)頂上直下の岩登り