
《御嶽山》おんたけさん3067m
山に登る前には、地図を見て、その頂上付近を想像する。
「最後は、どうなって頂上に到着するのだろう?」
「頂上一帯は、どんな地形なのだろう?」
地図を子細に眺めていれば、おおよその見当がつく、
しかし、この山だけは、まったく分からなかった。
《おんたけさん》
2年前にも、登っている。
しかし、その時は、火山規制のため、
9合目までしか行くことができなかった。
5年前の、9月27日、午前11時52分の噴火が、
まだ尾をひいていた。
この日にちと時間がスラスラと出てくるのは、
やはり、そのショックが、山に登る者として、
大きかったのである。
両手を合わせるには、あまりある悲しみが、
この地に眠っている。
そして、今年、その規制がやや緩和され、
頂上には行けるようになった。
ただし、通れないルートはまだある。
大勢の方が亡くなった辺りは、まだ立入禁止。
灰色の噴石や砂に覆われたままだ。
遠くからこの山を眺めると、キリマンジャロに似た、
お饅頭型の形をしているのだと想像する。
しかし、いざ、その地に立てば、
それがおおいに間違いであったことに気づく。
時代の違ういくつもの噴火口が複雑に入り乱れ、
火口湖を生み出し、峰がもりあがり、
かなりのデコボコの山塊になっている。
なんせ、南北4キロ、東西2キロと言われる広さ。
一つの山として、山小屋の多さも特筆ものだ。
登りながら数えただけでも、7つの小屋があった。
御嶽山は、頂上にたどりつくだけでは、もったいない。
広くおおきな天空との境を歩き回る楽しみがある。
山小屋をはしごするのもいいかもしれない。
この山は、富士山になりそこねた代表格かもしれない。

三の池