
ピアノのしろうと。
ピアノには、なぜ蓋があるのだろう?
使ったあと、必ず閉める。
バタン
「そっと閉めましょう」
先生に諭される。
『小太郎さん、鍵盤の上に赤い布が置いてありますが』
「ええ」
『これは、なぜ置いてあるんですか?』
まさか、そんな質問をされるとは思ってもみない先生・・
しばし、考え、
「大切なモノだからです」
『では、蓋は?』
「ほこりなどに、まみれないように」
ここで、質問をたたみかける。
『ジャズバーなどで、飲み物をピアノの上に置きながら、
演奏しているところをよく見るんですが』
「かまいませんよ」
『鍵盤に、こぼしたりしたら、まずいですよネ』
「それは、嬉しくないですね」
『こぼしたら、どうするんですか?』
「その時は・・」
突然、たちあがり、グランドピアノを分解しはじめた。
アッチをはずし、コッチを取り去り、
鍵盤をむき出しにしてしまう。
「飲み物をこぼしたら、こうやって、ふき取りましょう」
(自分で元に戻せるかなぁ・・・)
「なにより、こぼさない事」
『イエッサ~』
『鍵盤に、指についた油などが付着したら、
どうするのですか?』
「こういう布で常に拭いてください」
っと、車のワックス後のふき取り布のようなモノを、
教えてくれた。
『黒鍵と白鍵の隙間に爪が挟まって痛いのですが』
「よくやります」
『えっ、先生でも?』
「爪はよく切っておきましょう」
『はい!』
しろうとの質問は続くのであった・・・