
スポーツにおける、反射神経の頂点は何だろう?
単純に考えてみると、
ボクシングと卓球に尽きるのではないか。
ボクシングは、ちょいと置いておいて、
卓球に話をふろう。
卓球選手の反射神経は、リスの動きと言っていい。
ハツカネズミという人もいる。
これは、白球をラケットで追う動きだけではなく、
ゲーム中に、動くしぐさすべてが、
繊細な神経で満ちている。
たとえば、ゲーム中に中断した時に、
卓球台から離れる動きなどに顕著に表れる。
彼ら、彼女らは、
ゆっくりという感覚がない。
リスレベルの反射神経で、卓球台から離れ、
ふたたび舞い戻ってくる。
まるで、ビデオに撮っておいた試合風景を、
早回しで見ているかのようだ。
特に、卓球台から離れる瞬間に、
ラケットを代の上に置いていく時がある。
その置き方すら、一秒を惜しんでいるような置き方をする。
言葉にすれば、
「ものすごく速く置く」
なにもそんなに速く置かなくてもいいだろうと、
首をかしげる暇もなく、タンッと置いて、
タオルで汗を拭きにゆく。
で、ものすごいスピードで汗を拭いて、すぐに戻ってくる。
せっかくの休憩時間を、ハイスピードで駆け抜ける。
常に、クイックで動いている。
座るイスすらない。
では、これを似たスポーツに照らしてみよう。
テニス
パコ~ンと打ち合った選手が、ベンチに戻ってくると、
けっこうゆったりをした休憩をする。
動きも、どちらかと云えば、だらだらしている。
卓球選手のような、キビキビさはない。
審判も、「はやくしなさい」などという指摘もしない。
ところが・・
卓球では、
「はやく、サーブしなさい」
審判の指導の言葉がはかれる。
ゲームも会場も、すべてを「速く」という、
卓球の時間感覚に支配されているのである。
観ている側としても、小気味いい。
特に、タラタラが嫌いなせっかち人間にとっては、
拍手を送りたくなる。
卓球を、
リス対ハツカネズミの戦いに例えることに、
いささかの心苦しさを感じていない私である。
むしろ誉め言葉として、使っているつもりである。
一度、テレビカメラで会場内の時計を映してもらいたい。
ひょっとすると、
秒針が速く回っている光景が映るかもしれない。