
地方を旅するテレビ番組中だった。
とあるお店でのこと。
座敷で食事をする時だった。
スタッフが、テーブルを動かそうとしたら、
突然、テーブルの脚の一本が外れたのである。
そのテーブルというのが・・
直径2m近くある樹木を丸くぶったぎった、
輪切りのテーブル・・というより、座卓。
年輪が数えられないほどの同心円でグルグルしている。
南洋の国から運ばれてきた座卓である。
150キロを超えているらしい。
その脚(あし)の一本が外れたと騒いでいる。
3人のスタッフが中腰で両手で支えたまま、
どうしたらいいのか、目を白黒している。
残った一人が、座卓の下にもぐり、
なんとか脚をはめようと努力しているが埒があかない。
「すみませ~ん!」
お店の御主人を呼んだ。
やってきたご主人が、慌てて若手を呼んだ。
若手がやってきて、座卓の下にもぐり込んだ。
なんやかややっていた挙句、はい出てくるや、
「お~い誰か分かる人、いないかぁ~!」
すでに10分が経過している。
その時だった。
すべてを遠くから見ていた私がすっくと立ちあがる。
「ボクにやらせて貰える?」
『イヤ、危険だからやめましょう』
「大丈夫、脚(あし)、貸して」
『150キロが倒れたら、つぶれますヨ!』
両手で支えているスタッフが口をそろえてのたまう。
彼らが手を出せないことをいいことに、
脚を持って、仰向けにもぐり込んだ。
ガチャリッ
ハマった!
10秒後のことだった。
普段あまり褒められることのない私が、
まれにみる拍手で、
座卓の下から這い出てきた瞬間だった。