
クリスマスイブに山の中で過ごしたことがあった。
47年ほども前のことである。
テントを担いで、秩父の山の中に入りこみ、
どこを目指すでもなく、ただ山中を歩きまわる。
そのうち日が暮れると、テントを張る。
今と違って、テントを張る場所が、
限定されていない時代だった。
3日も4日も、山の中にいると、日にちの感覚がなくなる。
「たしか今夜あたりが、クリスマスイブだったよな」
あくまで「たしか・・」である。
12月終盤ともなると、山の中は、寒い。
まともな寝袋ともいえない袋に下半身をつっこみ、
飯盒でご飯をたき、蒸らしている間に、
みそ仕立ての鍋モノをつくる。
具は、魚肉ソーセージに、山の中で集めた草のたぐい。
摘んだ時に、試しに口に入れてみて、
食べられそうだと判断した草たちだ。
さすがにキノコは怖くて摘めなかった。
味噌とショウガがあれば、大概のモノは食えた。
ただし、夏場と違って、ほとんどの植物が枯れているので、
食材探しが、日中の責務となる。
クリスマスに、山中で泊ったのは、
この時が最初で最後である。
理由は、
冬には食い物が見つからないから。
今なら、食材を担いで行くのだろうが、
当時は、なるべく現地調達が基本姿勢だった。
音もなく、ただただ静かなだけの夜。
ラジオもなく、カメラも持たず、
いったい何をしているのか?
目的すらはっきりしていないクリスマス。
酒も呑まず、
ただぼんやりとしているだけのクリスマス。
今の自分にこんなことが出来るだろうか?
青い・・という事は、宝である。