『バイト行ってきま~す』
「おおそうかい、行ってらっしゃい・・ところで」
『なんスか?』
「バイトとは、アルバイトの略だと知ってるかい?」
『ハァ~なんとなく』
「アルバイトとは、歩荷(ぼっか)の事だと知ってるかい?」
『ぼっか?』
「山の上に、荷物を担ぎ上げる人たちの総称だな」
『んで?』
「アルバイトとは、ドイツ語で、かせぐという意味がある」
『へぇ』
「荷物を背負って長い距離をかせぐ」
『ひぃ』
「重い荷物を背負って、すこしでも距離をかせいでおく」
『つらそうですネ』
「大変なんだが、給料はいい」
『今のボクの時給よりいいですかネ?』
「時給ではないが、全体的にはいい」
『ソレやろうかな?』
「できるもんならナ」
『へっ?』
「50キロとか80キロとか担げるかい?」
『むりです』
「担いだ上で、3000mの高みにまで登ってゆく」
『ひぃぃぃ』
「人様が飲むビールなんかを、荷揚げするんじゃ」
『なら、物凄く高い値段とるんでしょうネ』
「それがナ、レギュラー缶で、500円じゃな」
『飲み屋と変わんないじゃないスか、安いッスね』
「んだから、山小屋でビールをいただくときは、感謝を!」
『誰に?』
「じゃから、歩荷さんに!」
『ぼっか?』
「アルバイトじゃ!」
『あっ、バイトいってきま~す』