
「かんかけい」をご存知だろうか?
瀬戸内の小豆島の山の中にある渓谷だ。
漢字ではこう書く。
《寒霞渓》
秋の紅葉で有名だが、その岩場の形態がとても奇妙である。
テトリスまっつぁおと言わんばかりのフスマのような岩が、
アッチ向いたり、コッチ向いたりして林立している。
その核心部にロープウエイが架かっているのだが、
このロープウエイは下りで本領を発揮する。
その意味は・・?
登りは、歩いて登ろう。
とはいえ、ほとんどコンクリーの道を登ることになる。
坂道をジグザグに登ってゆく。
フクラハギがいじめられる。
この日は、
寒い日だった。
おまけに
霞みが出て、景色もぼんやりしている。
秋に来れば、素晴らしい
渓谷なのに、
なぜこんな日に・・
おっ、わたしは今、漢字の色を黒くした。
集めてみよう。
寒い日、
霞み、
渓谷
《
寒霞渓》 かんかけい
見事に、その名に恥じないピッタリの日に、
登山したのである。
そんな日に登ってる奴などいない。
頂上のピークはある。
《星が城山》ほしがじょうやま 817m
そこには、古代遺跡のような高さ4mほどの構造物がある。
カンボジアのアンコールワットを連想させるような遺跡だ。
燈明台との説明書きがあるが、
いったい何だかは分からない。
この山の石を積み上げてできている。
霞の中に突然現れたので、非常に驚かされた。
思わず、姿勢をサッと低くした。
いわゆる防御の形だ。
さほど異様な姿をしている。
さて、ロープウエイの下りだ。
さきほど、このロープウエイは、
下りで本領を発揮すると言った。
下りでは、箱の前方に位置しましょう。
ところで、スカイダイビングで、
ムササビのようなだぶだぶの服を着て、
滑空する遊びを知っていますか?
岩壁の上からとびだし、岩のスレスレを斜めに斜めに、
凄まじいスピードで滑空してゆく。
アレをゆっくりのスピードで体験していると考えれば、
このロープウエイの面白さが理解できる。
まさに
ゆっくりの滑空なのだ。
岩が目の前にせまり、後方にすぎてゆく。
次から次に奇怪な岩が現れ、とんでゆく。
まるで、
ドローンに乗っている感覚になる。
寒くて霞んだ渓谷登りだったが、
帰りは至福のひとときを過ごしたのだった。
寒霞渓のロープウエイは下れ!