今年の冬山は雪が少ない。
かなり少ない。
冬の山道を歩いていると、木の枝に、
ピンクのリボンがぶら下がっているのが見える。
その高さで、雪の量がおおよそ推察できる。
木の枝にリボンを結びつけるには、
両手が届くとこに結ばなくてはならない。
ほぼ頭の高さだ。
それが、今年、頭上2mほどのはるか上にリボンがある。
つまり、例年より2mほど積雪が少ないという意味となる。
標高も2500mを超えると、まあまあの雪があり、
訓練チームが雪洞堀りに精をだしている。
スコップでうんやこらやっているのだが、
深く掘ると、すぐに地面が露出するようで、
訓練にならない。
平年だと、大きな穴を掘り、
中でビバークできるほどの空間を作りだす。
風はなく、バーナーで氷を解かす熱量だけで、
かなり暖かくなる。
へたすると、ティシャツ一枚になりたいほどだ。
その穴すら掘れない。
ラッセルの訓練に来たチームもある。
ラッセルとは、雪国のラッセル車と同じで、
人間がその役割をこなす。
膝やスコップをつかって、道を切り開いてゆく。
どちらかというと、雪を押しつぶし、かき分け、
次に続く者の為に、先頭がやる重労働である。
きついので、交代交代にするのだが、
夏道の4倍も5倍も時間がかかる。
そのラッセルも新雪が降らないので、訓練ができない。
困ったものだと悲観する必要はない。
雪が少ないと言ったが、
無いとは言ってない。
登山道に入ってからは、全面が雪道だ。
アイゼン効かして、快適な白銀の世界にとびこむ。
普段、雪が多すぎて、雪山に踏み込めない雪山初心者が、
挑戦するよい機会が訪れたと考えればいい。
ある意味、雪に悩まされないので、
テント泊だって、やりやすい。
えっ、寒そうで怖いって?
まずは、テントとシュラフ(寝袋)など装備を揃えたら、
家のベランダで、一晩寝てみてごらんなさい。
とくに、冬型気圧配置が決まった夜がおすすめです。