
《ブリ》好きですか?
ブリの成年、ワラサ(関西でメジロ)好きですか?
ブリの青年、イナダ(関西でハマチ)好きですか?
身体がブリブリ太っているから、
ブリと名付けられたとしか思えない魚体。
彼らが目の前に、大群で泳いでいたら、どうします?
そこは、大分県の佐賀関(さがのせき)だった。
《関サバ・関アジ》のブランド魚で有名になった町だ。
港に、たくさんの生け簀が浮かんでいた。
覗いてみると、なんと大量のブリが!
養殖?
ではなかったのである。
佐賀関とは大分県から、
四国に向かって突きでた半島の先っちょ。
豊後水道という、とてつもなく速い水流が流れている。
川と称されてもいる。
そこで育った肉質の良い魚たちをブランド化している。
網で大量に捕ると、枯渇するので、
一本釣りに徹している。
その一本一本を、港の生け簀で生かしておく。
需要のある時に、
神経締めをして出荷するシステム。
さて、その生け簀の端に立つ私。
魚好きにとって、魚を水面の上から眺めるほど、
心振るえる瞬間はない。
ゾクゾク ドキドキ
冷静さを欠いている私・・
生け簀に向かってダイブしようとしている自分がいる。
何をしようと言うのではない。
ブリの生け簀にとびこみたい疼き。
なんだろう・・この疼きは?
後天的な何かの欲求なのだろうか?
それとも・・
ひょっとすると、
私が鳥だった遠い頃の本能が、
「空から魚を狙いたい」
という疼きとして現れたのではないか?
なんだその「鳥だった遠い頃」って?
アナタは、今そう考えたと思う。
そう、私にもよく分からない。
そんな遠い祖先の過去があるとしか思えないほどの、
疼きが、ブリの生け簀にはあるのです。