
てるてる坊主を最近作りましたか?
実は、私は何十年も作っていない。
そのことに気づき、恥ずかしいかぎりだ。
晴れを願う気持ちを、形で表わす日本の優れた技を、
忘れたかのような自分が、許せない。
そのくせ、てるてる坊主を時折見つけると、
♪~てるてるぼうず、てるぼうずぅ~♪
歌いだす。
♪~あーした天気にしておくれぇ~♪
冒頭の写真は、神奈川の丹沢山系の最高峰、
《蛭が岳》ひるがだけ 1673m
の山頂に建つ、蛭が岳山荘の軒にぶら下がっている、
てるてる坊主だ。
山小屋の主人がつくり、雨風にうたれ、ボロボロになると、
二代目、三代目と作り続け、
うんこらしょと登ってきた登山者の目を和ませている。
なごませるだけでなく、
本気であしたが晴れることを願っている登山者に、
安らぎを与えている。
例えば、私が冒頭の写真を見せて、
「どこの山小屋でしょう?」
というクイズを出すと、かなりの正解者が現れる。
さほど有名な、てるてる坊主だとも云える。
では、なぜそんなに晴れが嬉しいのか?
丹沢山系の蛭が岳。
頂上に建つ山小屋の周りに樹木はほとんどない。
360度見渡せる。
その中で、もっとも素晴らしい景色は、夜!
関東平野の夜景のキラメキが、遠望できるのだ。
東京は全景、房総半島も、はるか彼方まで、
くっきりと夜空の暗闇の中に浮かび上がる。
このキラメキの中に、
1000万人以上の人たちが暮らしているのか・・
空気の薄い高みから、みおろしている。
そして、夜中に歌を唄っている。
「♪~てるてるぼぅずぅ、てるぼぅうずぅ~♪
今だけ天気にしておくれぇ~♪」