
《妙義山》みょうぎさん
高速道路を群馬に向かい、軽井沢方面にかじを切ると、
ゴツゴツとした山容の姿がみえてくる。
尖峰につぐ尖峰といった、
とても登れそうもない岩峰群が、
天に向かってそそり立っている。
「妙義山に登ろう!」
観光客がチャレンジとして登る、
比較的やさしいコースはあるにはある。
それではなく、上級者オンリーという、
ロープなどのクライミング道具を持たないものは、
入山禁止というゾーンに立ち入ろうというのだ。
ということで、今回初めて、山岳ガイドの方に協力を求めた。
いわゆるガイド登山である。
お互いをロープで繋いで、岩場を攀じるのである。
もし、転落した場合、しっかり確保する仕組み。
とはいえ、実際に転落すれば、
数百メートル落下するやもしれぬ。
なんたって、幅50センチに満たない登山道の両側は、
切り立っており、90度の角度で、
はるか100~400m下まで落ちている。
つまづいてヨロケタだけで、即落下となる。
ただし、この妙義山、山中に多くのクサリを張っている。
急峻な上り下りで落下しないように、
ステンレスのクサリがアチコチに現れる。
だからといって、
完全にクサリにぶら下がって登るワケではない。
基本は岩をつかんで登る。
しかし、この山の岩はもろい。
ポロポロと崩れる。
掴んだ岩がポロリと取れたりする。
乗せている足の下の岩が、ボロリとはがれたりする。
非常に危ない。
特に標高差30mほどの崖を二段ほど、
一気に登る箇所では、身体が空中にとびだすようで、
結構高度感がある。
たとえると、100階建てビルの上部を、
20階分登っていると思えばよい。
で、屋上に出たら、また下るの連続だ。
ピークからピークへ、それを繰り返す。
元々は、修験者の山道だったようで、
わざと危ない道を造り上げたかの趣に満ちている。
「常に、集中していましょう」
ガイドさんの、言葉にしっかりうなづく。
「よそ見と不必要な会話もやめましょう」
返事も最短に、
『はい』
「この広い所で休憩をしましょう」
断崖岩の先っちょの3~4人がやっと腰かけられる、
「広い」スペースで、
ささやかな携帯食をほおばったのであった。

