
ババババババババババババ~
相変わらず、この季節、私の草刈マシンが、
エンジン全開でうるさく始まる。
春の草をマシンで刈ると、種がはじけとぶ。
待ってましたとばかり、小鳥たちが、群がってくる。
その代表が、この鳥。
《ムクドリ》
都会の駅前樹木などにも群れており、
大群として、スズメ以上の賑わいをみせる鳥だ。
バババババと草を刈った端から、ムクドリが舞い降りる。
食い物をむさぼる嬉しい時間が、始まったのである。
草が刈られれば、種が落ちるという因果関係を、
かれらはどこかで学んだらしい。
ゆえに、私がマシンを担いで、エンジンを始動させれば、
近くの樹林帯の中で、
かれらの落ち着きのない歌声が始まる。
ババババ~
刈りだすやいなや、すぐさま舞い降りてくる。
今刈ったばかりの叢に、(汚い表現をすれば)
銀バエのの如く群がる。
つまり、私は、
餌巻きオジサンである。
花咲じじいと言えなくもない。
ひょっとすると、奴らは、エンジン始動以前の、
私の行動すら把握していたかもしれない。
ビデオを巻き戻せば、
マシンを倉庫から出す私。
もっと遡れば、
長靴をはいて倉庫まで歩いてゆく私。
いやいや、
庭に出た途端、おおアクビをする私。
その一部始終が、ムクドリのビデオ残像に、
収められていたのかもしれない。
「アイツがこう動けば、飯がふんだんに喰える」
ムクドリコミューンの、
合言葉にさえなっていたのかもしれない。
ふと・・・あの言葉が浮かんできた。
《共存》

「アイツが来た! 逃げろ!」