
『メルカトル法』という地図がある。
方眼紙に、緯度経度を真四角に線引きする地図だ。
緯度が高くなるほど、面積が広くなり、
シベリアやカナダなどは、広大な面積になる。
っと、ある時・・
皆が集まって、福島県の猪苗代湖の話で盛りあがった。
全員がウインドサーファーであり、
猪苗代湖でのレース話だった。
スタートは湖面のビーチから、走りだし、
2キロ先の〇〇岬の先で、方向を変え、戻ってくる。
ワイワイと、話はふくらんだ。
そこで誰かが言いだした。
猪苗代湖の地図で、今の話を説明しようヨ。
まだ、スマホが世に出て間もない頃だった。
ここで、ツッシーが登場する。
ツッシーとは、何事もきちんとすることに長けている人物。
ゴソゴソと、車の中を探っていたかと思いきや、
我らの前に、ドンッと大ぶりな地図帳をひろげた。
日本地図。
日本全土はおろか、韓国中国も、カムチャッカ半島も、
さらけ出している。
「え~っと、ここがですネ」
鉛筆で示しながら、猪苗代湖の湖面のビーチの話を始めた。
ふむ、その湖の地図上の直径は、5ミリもない。
我らのウインドレースのコースは、1ミリ2ミリの単位。
しかし、ツッシーは、尖った鉛筆の先で、
淡々と説明を続ける。
私は、そこに、偉人の姿をみた。
「分かる人には分かる、見える人には見える」
おおきな世界がある事を知った。
もし彼に、渋谷の飲み屋の場所を尋ねた時、
近場に、地球儀しかなかったら・・・・・