《飯士山》いいじさん 標高〇〇〇〇m
「国境の長いトンネルを抜けると雪国だった」
川端康成の小説、「雪国」の冒頭である。
では、抜けたところは、どこ?
冬に行けば、スキー客がどっと押し寄せる、
《湯沢温泉》
私も毎年のように、スキーでこの辺りを訪れている。
日帰り温泉もあり、露天の湯舟にザンブとつかっていると、
目の前にそびえたつ鋭い山が見える。
なんという山なのだろう?
帰り際、旅館の方に尋ねると、
「飯士山いいじさん」と答えてくれる。
標高もきいてみた。
山の標高と云うものは、山に登る人以外は全く関心がない。
たとえば、おらが故郷の有名な山でも、
名前やニックネームは知っているが、標高は言えない。
極端な例をいえば、富士山とて、
その標高を云えない人も大勢いる。
ところが、《飯士山》のふもとの旅館の女将は、
いともスラスラと標高をうたいあげたのである。
理由は、その数字を聞けば、納得する。
1111m
正確に云えば、1111、2m
2011年以前は、1111、8mであったそうな。
あの東北地震のセイで、60センチ縮んだそうな。
つまり、以前は、四捨五入して1112mだった。
「こりゃ、惜しい!」
地元の方たちが、身をくねらせていたかどうか知らないが、
結果的に縮んだことで、女将がソラんじる数字ができた。
実は、この数字を二つに分け、漢字を入れるとこうなる。
11月11日
つまりこの日を、飯士山の日と制定して
毎年、この日に、清掃登山を行っているのだそうな。
たくさんの地元を始め、登山者が集い、
雪が降る前のひとときを、この山で過ごすのである。
そして、この山は、
新潟にあまたある山の中で特異な位置にある。
それは登ってみれば分かる。
ってんで、まだ夏の暑さが冷めやらぬ関越道を、
北上するのであった。
この続きは、また明日~