岩原(いわっぱら)スキー場を登りおりしている時だった。
バリバリバリバリ、けたたましい音が聞こえる。
近づいてみると、草刈マシンが活動している。
一人乗りで、キャタピラーが回転。
前の部分に、縦回転する無数の鉄針が装着してあり、
そいつで雑草をバリバリと刈り取ってゆく。
一網打尽とは良く言った言葉で、小気味よい。
ただし、芝草のように短く刈るのではなく、
30センチほどの長さでカットしている。
地面がデコボコしているので、その様な仕様らしい。
じっと見ていた。
見ている暇はなく、山に登らねばならないのに、
目が座ってしまった。
面白そう・・やってみたい。
仕事で、くそ暑い日中、バリバリやっている方には、
申し訳ないのだが、
代わって貰えないだろうかと云う気持ちが湧く。
で、なんやかや、山に登り、降りてきた。
すると、まだバリバリを続けている。
のかと思いきや、斜面を下にくだっている。
時間的に、お昼の休憩時間がせまっているようだ。
やがて彼は、マシンをリフトの下部によせ、
エンジンを止めた。
チャンスだ!
こころが騒ぐ。
休憩時間だけ、動かしてみたい。
せめて運転席に乗ってみたい。
それがダメなら、刈り方とかマシンの仕組みをきいてみたい。
「あの~」
気持ちが動いたそのとき・・・彼が、
ジェットブローマシン(圧縮空気で清掃する機械)
を取り出し、草刈マシンに吹きかけ始めた。
ブオオォォォ~
なんとまあ、埃だらけだったのか、土ぼこりが舞い上がる。
運転席に座りお気楽な草刈かと思いきや、
実際は、埃だらけ、土まみれ、
しかも運転席は、冷房とてなく、汗まみれ。
そんなこととは露知らず、
遊び心で運転してみたいとは、ふざけた野郎でございました。
山に登った私の大汗とは随分違う、立派な大汗を流し、
ほんとにご苦労様です。
スキー場は、冬以外にも地道な苦労がある。
とはいえ、まだまだ、大量の雑草が残っている訳で・・・
下山後に、何度も振り返っていたのは、
登った飯士山ではなく、マシンが名残惜しかったのだと、
白状しておきます。
このススキをすべて刈ってゆく