
雨飾山の頂上から、今登ってきた笹原を見下ろしている。ここまで来るのに、30分ほどの天空の散歩道を歩く。
その道が、緑の笹原の中に、スジとして残っている。
っと、そこに、女性の顔が見てとれたのである。
(冒頭写真)
左を向いた女性の横顔が、線で表現されている。
鼻や口、アゴのあたりがぴったりだ。
これはこれは・・・
珍しい写真を撮っていた時だった。
こちら側から、下山してゆく登山者の姿がみえた。
その人は、なんと赤いシャツを着ているではないか!
まもなく、女性の顔のアゴのあたりに到達しようとしている。
ひらめいた!
その登山者が、唇のところに来た瞬間にシャッターを押そう。
おそらくあと10秒ほど。
下山なので、結構なスピードで歩いている。
シャッターを押すタイミングが微妙である。
早すぎればアゴの上。遅ければ鼻の穴に赤いシミがつく。
3、2、1・・パシャリッ
すぐに再生してみる。
おおぉ~女神の唇にルージュが引けた。
成功!
喜んでいたのだが、そういえば・・
2018年に、北アルプスの常念岳に登った時のこと。
あれは、残雪期だった。
頂上から、北側を見おろすと、はるか下に、常念小屋が見える。
赤い小屋で、今は半分雪に覆われている。
その時なにげなく撮った写真を、整理していると、
こんなモノが写っている。

女性の顔。
まるで、「常念」を「情念」と書き換えたくなるような顔。
全くたまたまなのだが、
人は何でも人の形に置き換える習性があるようだ。
岩だの樹木だのも、人の顔や姿に似ていると思い込む。
人に似てなければ、動物に似せたりする。
とにかく、○○似が大好きだ。
冒頭の女性の顔とて、《女神の横顔》と頂上では呼んでいた。
別に女神(ビーナス)である必要はないのだが、
そこはひとつ、最大の敬意をはらって、女神と呼びたいものだ。
だからこそ、ルージュの瞬間に胸躍ったのだから・・・

ルージュの瞬間