いよいよ、山岳雑誌《岳人》の連載が始まった。墨絵を自分で描いて、自分でエッセイを書くという企画。
表題は、《絵筆を片手に》
その題字も自分で書いてみた。
連載の第一回目は、2020年の11月号である。
ただし、販売は10月の今頃。
サラっと、発売日をお知らせしたが、
実はここで、腕組みをしなければならない。
その昔から、出版界では奇妙な慣習がある。
11月号を、その前の月に発売するのである。
12月号なら、11月に発売。
1月号などは、前年の12月に売り出す。
あまりにも当たり前になっているので、
ほとんどの人が疑問にも感じていないのだが、
よくよく考えてみれば、おかしな話である。
子供に聞いてみればすぐに答えが返ってくる。
「11月号なら11月に売ればいいじゃん」
出版側としても、反論はある。
「そうは言えど、11月1日には店頭に並べられないんだよ」
子供は口を尖らす。
「別に1日に並んでなくてもいいじゃん」
ふむ、私的には軍配は子供に挙がりそうだ。
「11月号は11月15日発売です」
で構わないと思っている。
このシステムがいつ始まったのかは知らないが、
50年以上前からと思う。
常に前に前にさかのぼるやり方。
9時出社であれば、8時45分には席にいる。
夕方18時に待ち合わせといえば、
17;40には着いている。
時間でさえ、遡るのだから、日にちはおろか月まで遡る。
これは、数え年の考え方にも通じる。
年まで遡って数えている。
何事も、前倒しにしたくなる。
前に前にたおしている状態が、安心できる。
だから現在でも、出版界が一か月前倒しにしている事に、
逆に驚いている。
50年前、一か月前の月に来月号の漫画を売っていた時、
このままいけば、50年後には、2ヵ月、
いや3カ月前倒しで売られているのではないかと、
危惧したのだが、果たして今現在そうはなっていなかった。
出版界とは良識の府が務めている所であった。
それでも子どもは言うだろう。
「その月に売ればぁ~」
昨日のタテ書きで書いた「らいげつにさつめのほんをだします」
とは、コレはまったく関係ありません