あれはススキがなびいている頃だから、秋の始めだったろうか、
新潟県の山を目指していた。
《飯士山》いいじさん
川端康成の《雪国》の冒頭で、
「国境の長いトンネルを抜けると雪国だった」
と言わしめた所にあるのは、湯沢温泉である。
駅に降り立ち、目の前に聳える山を見あげる。
その山が、飯士山。
標高は、東北大震災の前は、111、8mで四捨五入で、1112m。
ところが、震災後、ちじみ、111、3mとなり、1111mと改められた。
世にいう連番である。
そこで、この周りの町では、数年前から、
11月11日に飯士山の清掃登山を始めている。
ついでにお祭りにしてしまい。
終わった後、参加者でひと盛り上がりの野外ご飯をいただいている。
まあ、今年は、盛り上がりは止めにしたそうだが・・
自由参加で、参加費は1111円。
さらに、お米を1111粒、山に奉納するそうである。
その時間も決まっている。
11月11日、午前11時11分11秒
ここまで徹底されると、気持ちがいい。
なぜ、これを知っているかというと、
山の頂上直下で登山道を修復されている方達に出会った。
きけば、この町の観光課の方で、
危ない箇所をトンテンカンやっているのだとか。
ついでに、11月11日情報をお聞きした次第である。
さあ、時間的には、もうまもなく1111粒が撒かれるタイムになる。
ひょっとすると、
今日が誕生日の方も登って行かれるのだろうか。
その方は、ある意味、巫女さん的な存在かもしれない。