《猪のラザニア》スーパーのイタリアンの棚を流していたら、それがあった。
《ラザニエッテ》
右上に、「挽肉だけで作る」と書いてある。
それを見た瞬間、《挽》の漢字を《猪》に変換した。
《猪肉だけで作るラザニエッテ》
こころが騒いだ。
できあがったモノを想像した。
これまでラザニアを作った経験はない。
大好きなのに、手を出さずにいた。
これは何かの啓示かもしれない。
(ラザニエッテとは何、という疑問はすこし湧いた)
冷蔵庫にある猪の肉塊を細かく刻む。
挽肉ほどではないが、きざみにきざむ。
ラザニエッテの箱に書いてある通りにすすめる。
フライパンだけがあればいいようだ。
フライパンの行程が10分。
それを耐熱皿に移して、トースターで7分。
できた・・・
コンガリ、焼け目がついている。
すさまじい香りがあたりを包んでいる。
今、誰が入室してきても、
「イタリアンを作っているナ」と名指しされるだろう。
テレビの刑事モノでは、鑑識要らずとなる。
ここはひとつ、フォークだな。
ザクリッ
おお~~弾力あふれるラザニア特有の跳ね返しにあう。
持ち上げる。
湯気が立ちのぼり、いっそう香りが浮きたつ。
ガブリっ
なんだこの旨みは!
そうだった、素材はイノシシだ。
この甘みに近いかぐわしいばかりの旨みは、
イタリアンにぴったりではないか!
猪は、フレンチよりはイタリアンに良く合うのかもしれない。
ど迫力的な野生の肉をどうとかするには、
イタリアンの技がそのチカラを倍加させる。
なぜいままでその事に気づかなかったのだろうか?
イノカツあたりで満足していた自分にお叱りをする。
そして作ってみて分かったのだが、「ラザニエッテ」を訳せば、
「ラザニアみたいに」という変換で充分なのだと納得。