またもや、イノシシ料理を作ってしまった。昨日は真昼に、突然イノシシが喰いたくなった。
喰いという漢字を当てるほど、鼻が膨らんでいた。
ぶひぃ~
そうそう、豚はブヒィ~~と鳴くのは知っているだろうが、
実はイノシシも、ぶひぃ~~と鳴く。
区別するため、ひらがな表記している。
山の中で、ぶひぃ~~の声を聞けば、近くにイノシシが潜んでいる。
奴は、突然現れる。
予期する事ができない。
「あっあそこに何かいる」
と思った瞬間に、こちらに向かって突進してくる。
30mの距離だと、3秒もかからない。
イノシシだと分かるのは、奴が通り過ぎて、しばらくしてからだ。
(今のって、ひょっとして猪?)
(逃げる暇なかったネ)
さて、冷蔵庫からイノシシの肉を取り出し、細かく刻む。
タマネギも刻む。
オリーブオイルでニンニクの香り出しをした所に、
イノシシを放り込む。
ジャ~~~ン!
もの凄い芳香が漂う。
野獣を喰らうには当然とばかりの香りが台所にまき散らされる。
腹が減っていなくとも、この香りを嗅げば、狼のように遠吠えをしたくなる。
イノシシの肉を臭いと言う人がいるが、それは誤解である。
時折、友人に実験をすることがある。
牛肉、豚肉、鶏肉、そしてイノシシの肉の臭いをかいでもらう。
目をつぶって貰い、鼻の前にひとつづつ掲げ、臭うかどうかである。
すると、全員が同じことを言う。
「2番目だけ、臭いがしなかった」
そう、それが、イノシシの肉なのだ。
イノシシの生肉は殆ど臭いがしない。
私的には、もっと香ってほしいのに、無臭なのである。
さあそれに火を通したとたん、素晴らしい香りに包まれる。
喰いたい欲求が、真夏の入道雲のようにモリモリと盛りあがる。
よし、献立を発表しよう。
《ボタンライス》
チキンライスをもじって、イノシシだからボタン。
ケチャップ味の洋風焼き飯である。
最小限の塩コショウで味付けをして、
ケチャップをぶちゅっとまぶして、はいおしまい。
コレを卵で包めば、《ボタンオムライス》になるのだが、
今回は、《ボタンライス》をいただく。
ガブリ!
狼は、激しい遠吠えを始めるのであった。
ゥオオオオオォォ~~~~