「おいおい、それはないだろうヨ」ドラマの台本にセリフが書いてある。
「おいおい」
役者はそれなりに喋る。
作家の方が推敲に推敲を重ねている台本のセリフだ。
喋らないワケにはいかない。
基本的に男言葉である。
ところで、アナタは日常生活でこの言葉を使うだろうか?
試しに、声を出して使ってみてください。
「おいおい、このケーキを食べろってのかい」
もう一度、会社の部下に語ると思って喋ってみてください。
「おいおい、それを私にやれってのかい」
小説やドラマで頻繁に出てくるこの「おいおい」。
現実世界で、どの程度使われているのだろうか?
もちろん、人を呼び止める時の、「おいおい」ではない。
(それはないだろう)という心の声を喋っている呼びかけ言葉だ。
私的には、こう考える。
ドラマの中で、若者の男女が、「コイツゥ~」と言って、
人差し指で相手のおでこを軽く突く。
これが台本に書いてあると、演じる方はかなり恥ずかしい。
今時こんなことやる?疑問を呈する若者もいる。
これに匹敵するのが、オジサンのセリフの、「おいおい」。
喋れないことはないのだが、
心の声をわざわざ口に出しているようで、少し恥ずかしい。
しかも「おいおい」はオジサン言葉だと判別しているからだろうか、
オジサン役者にしか書かれていない。
オジサン特定セリフと化している。
オジサンなら、テライもなく喋るだろうと、期待されている。
オジサンは期待に応えるべく、聞いた人が違和感を感じないように、
「おいおい、わたしには喋れるんだヨ」
しっかり喋る。
悪いことに、オジサンらしさを強調して喋っている。
オジサンは不必要なうまさを獲得してしまったので、いとも容易く喋る。
すると、「おいおい」が通常言葉ではないことを、
聞いた人が感じ無くなる。
その結果、この「おいおい」が多用される。
「えっ庭の掃除?おいおいやっとくヨ」
「ソレ違う!」