栃木県に那須岳が連峰として君臨している。その山中、標高1500mの所に、温泉場がある。
《三斗小屋温泉》 さんどごや
二軒の山小屋があり、片方の名前が変わっている。
《煙草屋旅館》 たばこや
旅館といいながら、山小屋である。
その昔、麓で旅館をやっていた頃の屋号をそのまま、
山の中でも使っているらしい。
この小屋が有名になったのは、山小屋に珍しく,
野天風呂があるのだ、もちろん温泉。
「いかいでか!」
今日は、落語のハっつあんクマさんならぬ、
石っさんと瞬(しゅん)君のの会話を楽しんでいただこう。
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瞬「いい湯加減じゃないですか」
石「たまらんのぅ~」
瞬「夕焼け・・みられますかネ?」
石「西の空は赤くなりかかってるゾ」
瞬「あらっ、ポツポツ落ちてきたのは雨粒ですか?」
石「野天風呂に落ちる雨粒のハネも、おつなもんじゃねぇかい」
瞬「ご丁寧に、蓑笠を置いてありますよ」
石「おぅ、ありがとさん」
瞬「それにしても、峠超えの風はえらい強かったですネェ~」
石「おめぇ、まともに歩けなかったじゃねえか」
瞬「風速はどれくらいだったんですか?」
石「軽く20m超えてたナ」
瞬「横向くと、リュックに風がドンッと当たって・・・」
石「ふらついたろう」
瞬「諦めてあそこで帰った登山者もいましたもんネ」
石「風が強いのは、峠だの鞍部だけヨ」
瞬「たしかに頂上では大したことなかったなあ~」
石「風を知ると、山登りは面白くなるゾ」
瞬「何メートルまで歩けるんですか?」
石「30mくらいが山では限界かな」
瞬「それ以上だったら?」
石「35mでは、ふらついて危ない」
瞬「うぅぅ・・・」
石「40mは、からだが浮き上がるし、いろんなモノが飛んでくる」
瞬「うぅ・・・・・」
石「それ以上は知らん」
瞬「登山しないと、絶対にこの温泉に来れないんですよね」
石「汗かかざる者は、入るべからず」
瞬「ビール旨いでしょうネ」
石「そのビールは、小屋のヒトが担いであげているんだ」
瞬「んじゃ味わって飲まなきゃならんですネ」
石「さっき、入口近くで湧き水で冷やしてたゾ」
瞬「もうあがりませんか?」
石「まだ飯まで時間あるゾ」
瞬「ビールが・・・」
石「よし、内風呂にも入ろう!」
瞬「ビールがぁ飲みたぃ・・・」
石「内風呂は泉質が違うらしいゾ」
瞬「ビィ~・・・」

はたして 夕焼けは・・・