先日、那須岳三斗小屋温泉の煙草屋旅館の話をした。さんど、と濁る呼び方をする温泉。
野天風呂があり、人気の山小屋だ。
ここでは、露天風呂ではなく、野天風呂と呼ぶ。
名前の呼び方は様々で面白い。
露天と野天の違いは何だろうか?
個人的なイメージでは、
《露天》は、旅館などで内風呂の外に、
屋根をとっぱらった湯船を造ったモノ。
《野天》は、完全な野外、つまり自然の中に造ったモノ。
さて、この煙草屋旅館の食事を知らせる方法が変わっている。
山小屋の食事合図といえば、
・ベルを鳴らす (リリリリリリリ)
・小屋主さんの声掛け(お食事で~す)
・館内放送(食事の時間になりました、食堂へどうぞ)
殆どの小屋はコレで知らせている。
もしくは、まったく知らせない小屋もある。
知らせなくとも、腹ペコ登山者は、いまかいまかと待っているので、
間違いなく時間になると食堂にやってくる。
そこで、煙草屋旅館では、どんな知らせ方をしているか?
《太鼓をたたく》
ドンドンドンドン ドドドドドドドド~ン
ひと抱えもある太鼓が玄関の所に鎮座してあり、
小屋番さんが、時間になるとバチで力を込めてたたく。
目の前で聞いたら、大きな音にビックリする。
これはウルサイだろうなと、誰もが思う。
しかし、山小屋は意外と広い。
しかも完全な木造りなので、音が柔らかく伝わる。
この宿は、山小屋なのに、部屋はすべて個室で、
畳の部屋なのだ。
山の中だという事を忘れると、
その昔の旅館に泊まっていると錯覚すら覚える。
部屋の前の木の廊下をスリッパで歩いていると、
隣の部屋から、フーテンの寅さんが現れて、
「おばちゃ~ん、お銚子一本持ってきてぇ~」
声がけされても不思議でない。
ドンドンドンと太鼓の音も実にやさしく我らに届く。
もちろん朝飯も太鼓がたたかれる。
山登りへの意気込みを奮起させてくれる。
「いざ、朝飯を喰らって、山の中へ出発!」
ついでにウグイスが、
「ホ~どっこいしょ!」

内風呂は野天風呂と源泉が別で泉質がちがう