う~む、昨日釣り道具の、タモの話をした。すると、コレも語らねばならないだろうと、ムクムク湧いてきたのが、
《ビク》
ビクとは、釣った魚を入れるカゴの事である。
竹かごで出来ているのだが、今では、プラスチック製が主流。
江戸時代の絵に、のんびり釣りをする爺様が描かれる。
その腰にぶら下がっているのが、ビクだ。
浦島太郎の絵には必ず、手には竿、腰にビクが描かれる。
釣り人にとっては、魚釣りとは、《竿とビク》なのである。
なにはともあれ、竿がないと魚は釣れない。
そして釣った魚を入れるものが無いと、不安でしかたがない。
つまりビクとは、《釣り人の貯金通帳》なのである。
どんなに入れ食いになり大漁になったとしても、
魚を持って帰れなければ意味がない。
言い換えれば、どんなに仕事でお金を稼いだ人も、
そのお金を貯める場所がなければ意味がない。
もういっかい言い換えを戻すと、
釣り人のビクとは、
《自分が成し遂げた成果の称賛置き場》なのである。
《活きているトロフィ》と、呼んでもいいだろう。
釣場では、近づいた人たちが、そのビクを覗きたくなる。
「釣れましたか?」と言って、中を覗こうとする。
私の知っている限りでは、覗かせない人はいない。
むしろ見てもらいたい気分であふれている。
なぜならそれは、彼のトロフィなのだから。
そしてそのトロフィは、活きた魚が暴れるので、
激しく振動する。
ビクビクと動く。
だからビクと名前が付けられた・・・のだろうとは私の説。