「命に別状はありません」テレビのニュースで喋っている。
ふと・・・
「別状」とは何だろうか?
事故などの時に頻繁に使われるが、
他の機会に使われるのを聞いたことがない。
この言葉を聞くと、すこしだけホッとする。
「そうか、命に別状はなかったのか・・・」
安堵するのだが、よくよく考えれば、
かなりのケガはしているかもしれない。
事故ニュースを段階に分けてみると、
死亡
重体
重症
命に別状はない
軽傷
となるような気がする。
重症と軽傷の間に位置するワケなので、
決して安心できる状態ではなかろう。
特にご家族にとっては、「別状はない」で片づけられるのは、
いきどおりを覚えるはず。
「足一本折れてんのに、命に別状はないってなんや!」
むしろ、重症の範疇に含まれるケガかもしれない。
とりあえず、お知らせする場合の安心の為の言葉が、
「命に別状はない」になったのであろうか。
このフレーズがしきりに使われるようになって、
まだ20年たってないような気がする。
では、それ以前は、どう喋っていたのだろうか?
「命にかかわるほどのケガではなかったようです」
これは聞いた覚えがある。
「なんとか一命はとりとめたと思われます」
これは今でも使われている。
伝える側の苦肉の想いが、にじみ出ている。
これらの言葉に慣れてしまわないようにしよう。
当人たちにとっては、まだまだ予断を許さない状況なのだから。