「マスターズ、日本一だぁよ」
あんですって?
ばったり出会った爺様が、とんでもない事を喋る。
「三段跳びだぁ」
「日本一になったんですか」
「うん」
「いくつの時に?」
「76くらいかなぁ~」
「いまおいくつ?」
「はじじゅうろく」
86才と言いながら、背筋を伸ばしている爺様は、
大分県の杵築市のとある所で、体育館の中にいた。
何をしているかと云えば、卓球をしていた。
ピンポンである。
ここまで聞いて、アナタは、
ピ~ンと打ってポ~ンと返ってくるノンビリしたピンポンを、
思い浮かべたでしょうが、とんでもない。
カチーン、コツ~ン、カチカチコツ~ン!
スマッシュあり、ヒネリありの本物の卓球じゃないか!
そのアナタがなんですって?
マスターズの三段跳びで、日本一になった・・・と。
記録はとの問いに、
「9m以上だったわナ」
どちらの足で踏み切ったのですかの問いに、
「右右ひだりぃと跳ぶんだぁナ」
昔はスポーツをやっていたのですか、の問いに。
「短距離は好きだったゾ」
キラリと目が光った。
それにしても、私はそういう人に、なぜ偶然出会うのだろう?
2年ほど前には、マスターズ柔道世界一の方に、
温泉の湯船の中で、バッタリ。
しかも彼らは、自ら自慢げに語ったのではない。
むりやり私が聞きだした挙句に、ポツリ・・と。
よし、次にもうひとり、マスターズのビッグな方にお会いしたら、
3人と一堂に会して、お話を伺ってみたい。
青、赤、黄色と、色の三原色に、緑(私)を加えて、
いったいどんな色が調合されるのか、楽しみである。