面白い宣伝をしてくれている男がいる。我が探検隊の隊員の、スギヤマ隊員。
日々電車通勤している時に、イシマルの本
《蕎麦は食ってみなけりゃ分からない》を顔の前に捧げ持ち、
これみよがりに他人さまに見て貰っているのである。
皆に読んでもらいたい願望が、変わった宣伝方法に至った。
「帰りの電車は、おなかをすかせているので、蕎麦でワンパンチ!」
喜々としている。
形としては、二宮金次郎のように本を水平に持つのではなく、
垂直に持つという、小学校の教科書の掲げ持ちである。
表紙がよく見えるように、指もはしっこを掴み、
電車の揺れで、表題が読めないなんてことが無いように、
揺れ防止に取り組んでいる。
スギヤマ隊員の(スポーツ撮影)の仕事柄、ドローンやゴープロの、
揺れ防止機能を理解しているらしく、
肩、ヒジ関節、手首を柔軟に動かしている。
「これを見ろ」とばかりに主張しているらしい。
けなげである。
一日の通勤で行き帰り二回のアピール機会。
小学生のように腕を前につき出して、本を捧げ持っている。
その昔の軍事教練において、鉄砲の持ち方の掛け声で、
「ささげ~~つつ」との号令があった。
あれに似てなくもない。
まさか声を出して読むことはないだろうが、
彼の体質から言って、ないとは言い切れない。
それだけは恥ずかしいのでやめてほしい。