飛んだ!ハンミョウが跳びあがった。
その直前、ハンミョウの後ろ足のヒザの部分に、
昆虫採集の網をかぶせようとしていた。
ヒザの所には、トゲのようなモノが突き出ている。
そのトゲに網が引っかかってしまった。
やばい・・・とっさに目の前の足にしがみついた。
フッとからだが浮いたと思った途端、
いっきに空に舞い上がったのである。
もの凄い跳躍力!
みるみるうちに大地が遠ざかる。
お寺の屋根が見える。
昆虫採集にやってきた墓地も見おろせる。
錦鯉がたくさん泳いでいた池も、蓮の実も、
どんどん小さくなる。
ハンミョウは時折、顔を下に向けたりするので、
コジロウがしがみついている事を知っているのかもしれない。
それでも、ブルブルと足を震わせたりしないという事は、
ふり落とす気はないとみえる。
ラーメン構造の足にしっかりとグリップする。
時折、雲の中につっこむ。
真っ白になる。
雲の中から見える、お寺の鐘つき堂が豆粒のようになった。
「しまった、お弁当を忘れた」
こんな時に、コジロウは食べる心配をしている。
「色の白い服を着てきて良かった」
黒を着てきていたら、アリと間違われて喰われる所だった。
コジロウも、ハンミョウも喰うことばかり考えている。
「お~い、どこへ行くんだよぉ~」
風でとばないように、帽子を逆さまにかぶり直す。
「あれれ・・・」
ポケットを探ってみると、さっきお寺の坊さまから貰った、
ハスの実が出てきた。
かじりつく。
ピスタチオのような甘みがあって旨い。
「おお~い、オマエも食べるかぁ~」
差し出してみるが、見向きもしない。
嫌われているのかもしれない。
それにしても、いつまでもしがみ付いていられるかなぁ~
ハンミョウの奴、飛び方が無茶苦茶で、
急に方向転換するもんな。
宙がえりこそしないものの、上下左右、ドローンのような飛び方じゃん。
「うわぁ~バックだけはやめてよぉ~」
~~~ ~~~ ~~~
《ハンミョウとコジロウ》
コジロウは振り落とされるのか?
コジロウの運命やいかに!
では来週―――