「なんでも切ります」《日本切断研究所》
都内某所で見つけたお店の看板。
『研究所』との正し書きもある。
なんでもという事は、物体ならなんでも切断するという意味だろう。
それが証拠に、店の前の写真に、ビンを縦に分断したり、
カップを切った写真が飾られてある。
テレビ番組に「鉾と楯」という番組がある。
何でも切ると云えば、絶対切れないと主張する双方が戦うものだ。
このデンでいけば、くだんの店は、切るという積極的な側につく。
となれば、守る側はどんな側になるのだろう。
絶対切れないモノとは何だろうか?
そこで、なんでも切るという、《なんでも》を考えてみた。
・人間は切れるだろうか?
(MRIではすでに輪切りにしている)
・冷蔵庫は切れるだろうか?
・戦艦大和は切れるだろうか?
あるいは・・・
・風船は切れるだろうか?
・シャボン玉は切れるだろうか?
もっといえば・・・
・原子は切れるだろうか?
私はこの問いを、研究所と書かれた店の前で、
うんうん言いながら考え続けていた。
特にシャボン玉は、どうやったら切ったと証明できるだろうか?
腕組みをしたままの私が、ふと目を横にづらすとこんな文字が。
《純豆腐》
なんでも切ると豪語した会社の、お隣りの店は、
豆腐屋だった。
