《左手で箸を使う》その昔18才の謙二郎君が、ある日、箸を左手に持ち替えた。
別に右手をケガした分けではない。
単なる思い付きである。
「左手でモノを食べたらどうなるだろう?」
疑問が湧くと実践するクセがあった。
そもそものキッカケはその前年の受験勉強の最中にあった。
勉強があまり好きでない謙二郎君は、
「もし受験の日に、右手をケガして鉛筆が持てなくなったらどうする?」
アホな心配を始めた。
杞憂にもほどがある。
ところがその心配を克服する為に、
左手で字を書く訓練を始めたのである。
とりあえず指先が器用なので、ひと月後には、なんとか、
他人が読める程度には書けるようになった。
ただし、スピードはかなり遅い。
遅ければ、答案用紙に答えを書くのに時間がかかる。
ただでさえ、成績が良くないのに、さらに試験の点数が下がる。
本末転倒を地で行くとはこのことだ。
もっとも点数が落ちたのは、英語である。
英語を左手で書いてみると、すぐに分かる。
尖った鉛筆の先が、紙にグサグサ刺さる。
登場回数が多い《E》の小文字は特に刺さる。
その度に、紙を伸ばし修理し消しゴムでゴシゴシやるので、
時間がかかる。
それでもなんとか・・・
「よし、たとえ受験当日に右手をケガしてもOK!」
指でつくるOKも左手でやっている。
どうやら翌年、大学生になった時に、右左対策を思い出したようだ。
左手で食事をしてみよう。
まずは、中華屋で試してみた。
《ラーメン》
出てきたラーメン、割りばしを左手に持ち、眺めている。
「どこに箸を差し込む?」
右手なら全く考えた事もない思いが浮かぶ。
鏡映しの発想で、箸を差し込めばいいのは分かっている。
しかし、箸と口の関係などを総合した形が思い浮かばない。
とりあえず、やってみた。
すると・・・
以外や、自分が思った以上にスムーズに箸が動くではないか!
最初のヒト口目から、麺がスムーズに胃袋におちてゆく。
ひょっとすると、一年前の左手特訓が、
脳みそを刺激していたのかもしれない。
その後、左手喰いはつき進む。
カツ丼、ハンバーグ定食、スパゲッティ、カレー。
もちろん、フォークやスプーンは簡単にクリアする。
ただし、食べるスピードはかなりのろい。
右手の場合の3倍ほどの食事時間となる。
だから、駅の立ち食い蕎麦では、食べ終わる頃には、
ツユがすっかり冷めてしまっている。
ひと月経った頃、ほぼ完ぺきに食べられる自分がいた。
「左ききですか?」
質問までされた。
さあ、この時に、もの凄い発見をしたのである。
《左手食いは、胃腸に良い!》
左手で食べると、ゆっくり食べる。
胃袋にはとても良く、体調がすこぶる良くなる。
もしアナタが胃腸の具合に悩んでいたら、
騙されたと思ってやってみるとよい。
ひと月もやれば、体調が良くなることでしょう。
そして、しばらく続けると、さらに気が付くのです。
左手がすこぶる動くようになり、右手と遜色なくなり、
早食いができるようになる。
え~ダメじゃ~~ん