このペンをよく見る。私も持っている。
ヘッドをカチンと押せば、ボールペンの先が出てくる。
引っこますには、横にある棒をペン側に押す。
棒とは、胸のポケットなどに入れる時に、
隙間に挿せるようになっているモノだ。
さて、このペンが私の中で、困った困ったの悩みどころとなっている。
書いている最中に、右手のどこかが、棒に当たる。
その途端、カチンッ、先が引っこむのである。
書いている最中とは、筆圧強く、紙に押さえつけている。
カチンッ—瞬間的に力のやり場を失う。
ペン本体は、紙に激突する。
柔道の足払いのワザに似ている。
そして困ったことに、このワザが頻繁にかけられる。
先ほど、10行ほどの文章を書いていた時、
5回の足払いを喰らった。
喰らった部分には、シミができた。
3回目の部分には、小さな穴まであいた。
あの棒は、非常に敏感に反応する。
触るか触らないかの微妙な接触を感知するらしい。
ひょっとして私の持ち方に問題があるのだろうか?
棒の位置を調整してみる。
なるほど、棒の位置を真上にすると、
指に当たる確率が下がる。
しばし、その状態で書いてみた。
ふむ、いまのところ、カチンッはない。
ないと安心していたら、カチンッとなった。
いつのまにか、ペンに回転が加わっていたようだ。
というより、考え事をしていると、ペンをクルクル自転させてしまう。
いまやこのカチンペンは主流である。
ヘッドにある突起を押すカチカチペンと競い合っている。
いや、棒カチンの方を会社デスクの上によく見る。
「ねぇペン貸して」
貸してくれるのは、このカチンペンだ。
そして書いていると、カチンッ
足払いを喰らう。
みんなはどうしているのだろう?
わたしだけが、カチンッなのだろうか?
グサッなのだろうか?
カチンカチンのカツオ