人は、ゴッホにうなされる季節がある。
ゴッホ熱という方もいる。
わたしももれなくゴッホ熱にうなされた。
高校生の時の話しである。
毎日々々、ゴッホの絵画集を見続ける。
あるページを開いたまま、何時間もジッとしている。
なにを考えているかと云うと、たぶん何も考えていない。
ただ茫然としている。
その後、都会の会場で、《ゴッホ展》がひらかれる機会があり、
勇んで出かけた。
しかしながら、大混雑の末、間近で観られたのは、一枚だけ。
あとは全部、《月の石》同様、10m以内に近づけなかった。
さて現在、東京都美術館で、12月12日まで、
ゴッホ展が催されている。
二度目の勇みで出かけた。
良い事なのか、人数制限により、ゆっくり観ることができる。
一枚一枚、丹念にも観られるし、
自分の好きな絵の前にいられる。
ゴッホの素描(デッサン)が好きな私には、
見た事のない素描がいくつも並んでいる。
ゴッホは晩年の作品が有名になったが、
実はゴッホは、デッサン力も秀でている。
それなくして、絵描きにはなれなかった時代を生きていた。
美術館の内部に入り、素描を見始めたところで、
私のからだがおかしくなった。
異常に熱くなったのである。
ティーシャツの上にブレザーともう一枚はおっていたのだが、
すぐに脱いだ。
半袖ティーシャツ一枚になった。
それでも熱く、汗が噴き出してきた。
ティーシャツがビショビショになりながら、素描を見つめ続けていた。
おそらく、興奮したのだと思う。
美術館は適温に保たれ、おそらく冷房が入っていたハズ。
その中で、大汗をかいている。
からだが勝手に反応したらしい。
確かにゴッホにうなされた時代はあったものの、
それから50年以上たっている。
もう冷静に観られるに違いないと、油断していた。
一時間以上会場にいただろうか・・・
外に出た時には、汗で冷えたからだが震えだした。
着替えを持ってきていなかったので、自力で乾かした。
それが良くなかったと見える。
風邪はひかなかったものの、体温の乱高下に、
かなりショックを受けた。
ゴッホ熱は終わってはいなかった。
ブスブスといぶり続けていたらしい。
昨年から、絵を描き始め、ブスブスでは済まなくなりかかっている。
からだというものは正直だというのは本当だった。
入場前に、これからゴッホの原画を観るのだという興奮で熱が出ていたら、
入場を断られ、検査に回されていたかもしれない。
12月12日まで東京都美術館でやっている。
もう一回行きたくなった――
東京都美術館