《笠取山》 1953m山梨県と埼玉県の境にならんでいる山のひとつ。
東京都で最も高い《雲取山》と、
長野と山梨と埼玉の3県の境に位置する《甲武信岳》こぶしだけ、
の間に位置する山でもある。
その二つの山に挟まれて、これまで笠取山に目がいかなかった。
ではなぜ、急にこの山に足を向けたのだろうか?
答えは、その標高にある。
1953m
私が生まれた西暦は、1953年。
山に登る動機としては、少し恥ずかしい。
しかし本人としては、大真面目。
なんたって、この標高の山は、日本に一つしかない。
「おい、笠取山に登らないか?」
同い年の滝田くんを誘った。
「標高が1953mなんだゾ」
返ってきたメールは、
「あっそ」
なんだその感想は・・・
別に、胸の前で両手を合わせて、「すっご~い!」
とか言って目を輝かせてほしい訳ではない。
せめて、「ほぉ~」とか「へぇ~」とか、
この山を見つけた人に対する感謝の礼儀というものがあるだろう。
ちなみに、1952mの山は、ないんだかんネ。
1952年に生まれた人の身になってみろってんだ。
ないんだゾ!
ってんで、我らは登山口にやってきた。
日曜だったので、9時に駐車場は満杯だった。
天気快晴、気温10℃。
紅葉まっさかり。
登山道は落ち葉が溜まって、歩きやすく斜度もゆるい。
どんどん足が出てゆく。
そして、ついに頂上直下にやってきた。
同い年がふたりで驚きの声をあげる。
「なんじゃ、アレは!」
三角形の頂上が目の前に聳えているのだが、
一本の道が直登している。
頂上まで、標高差150mほど。
相当の傾斜である。
普段なら、ジグザグが刻まれる斜度である。
樹が生えていないので、草むらの傾斜地。
スキー場の上級者コースと言っていいだろう。
その上、地面の土が粘土質。
登山靴がズルズルと後ずさりする。
登っても登っても、ズルズルが悩ましい。
両手をついて登るところも出てきた。
登山口からのノンビリした雰囲気とは一変。
ヒィーヒィー悲鳴があがる。
それでも、なんやこれ!
ついに山頂、1953mの標識に立つ。
目の前に富士山がド~~~ン!
大菩薩嶺がグワ~~ン!
南アルプスがズラ~~リ!
素晴らしい山ではないか・・・
ひょっとしたら、標高=誕生西暦、という図式で登りに来なければ、
たぶん、優先順位の低かった山が、
嬉しい誤算で、人気ランキングの上位に顔をだしたのである。
《西暦の標高の山に登る》
いいかもしれない。
