沖縄をナメていた。沖縄で仕事だというので、薄着で旅だった。
正月にも沖縄には何度も行っているので、
「こんなもんでいいだろう」衣服装備で出かけたのである。
ところが、まだ11月だというのに、寒い!
どちらかと云えば、暑がりの私が、背中にホカロンを貼っている。
二枚も貼り、ポケットにも忍ばせている。
体調でも悪いのかと、思いきや、寒波到来で、
お陽様も顔を出さない。
朝焼けだけは、相変わらずの爆裂で、
目を覚ましてくれる。
沖縄の朝は遅い。
関東から、30分以上遅れてやってくる。
早朝、テレビをつけると、東京の日の出などと映像を見せている。
そのテレビの横のホテルの窓は、真っ暗なままだ。
首を伸ばしてみると、うっすらと赤い線のような地平線が広がっている。
いや、水平線かもしれない。
そうこうしている内に、赤い線が巾を持ちだし、
やがて、大パノラマの朝焼けを奏で始める。
ここからはカメラのスイッチが忙しくなる。
スイッチを入れて撮ったかと思えば、すぐに消し、
消したかと思えば、又スイッチを入れ、パシャリ。
ずっとスタンバイしていれば良いものを、
電池の心配をするあまり、入れたり切ったり、
パシャパシャパシャリッ
刻々と変わってゆく空の色具合に、
「ああ~」とか「おお~」とか感嘆詞をおりまぜ、
ベランダに出たり、入ったりしている。
そこはホテルの9階のベランダ。
寒い。
それもそのはず、夏用のパジャマしか持ってきていない。
沖縄をナメている。
常夏(とこなつ)信仰が、いまでもある。
ハワイと勘違いしている。
(さっき、旅行カバンの中を見たら、アロハを見つけた)
今、欲しいのは、ダウンジャケットだ。
海水パンツを入れてなかっただけ、褒めてあげよう。
ただし、登山靴は入れてある。
リュックもストックも入れてある。
せっかくおとずれたのだから、沖縄の山に登ろうという、
《虎視眈々作戦》がバレバレ。
沖縄本島の地図まで持参した、
《スキさえあれば作戦》も透けている。
レンタカー格安店などという一覧までネットから取り出して、
《あわよくば作戦》に余念がない。
「イシマルさん、雨でロケが流れない限り、休みないですヨ」
いいんです、雨でもいいんです。
沖縄の山は、雨が降ると雲が湧き、
おもしろい天変を見せてくれるハズ。
こころ弾む地異が見られるハズ。
いざ!