連日のように、沖縄の山に登る話をしている。沖縄本島最高峰、与那覇岳に登る話から始めた。
ところが、与那覇岳は午後から登ったのだが、
その直前、午前中に実は、他の山に登っていたのである。
《嘉津宇岳》 かつうだけ 452m
名護市から西を眺めると、尖がった山が見える。
登りたくなる。
レンタカーを借りてすぐに向かった。
午前9時、登山口には、広い駐車場が整備されており、
一台しか停まっていなかった。
道は整備されている。
といっても、熱帯のジャングルの中を歩く。
道が急登に差し掛かると、尖った岩だらけになる。
ここは石灰岩の島。
億年の昔、珊瑚が死滅して堅い岩になった。
隆起と沈降が繰り返されて、やがて雨で岩が溶けて削られ、
ナイフのような尖った景観をつくりだす。
その「尖った」岩の上を乗り越えて歩かねばならない。
登山靴を持ってきたから良かったものの、運動靴だったら、
難儀しただろう。
と思っていたら――
山頂直下で、上から降りてきた親子3人に出あった。
登山というよりは、ピクニック姿、普通の運動靴。
小学2年と中学1年生。
「足、痛くなかったかい?」
「転んで泣いたんですヨ、ネェ~」
お母さんが7才の男の子に呼びかけている。
話しを聞くと、島の南の方に暮らしており、
そっちには、山がないので、わざわざ登りにやってきたと言う。
「山頂はなんかフワフワしてて気持ちが良かったですヨ~」
親子と別れて、すぐに山頂にとびだした。
フワフワという言葉で柔らかい場所があるかと期待していたのだが、
そこも尖った岩ばかりで、座る場所すらあるのかないのか?
おお~
なんだなんだ!
グルリと顔をめぐらす。
ここからの眺めは素敵だ。
何と言っても、島特有の景色。
まわりに青い海がとり囲んでいる。
世界で最も美しいと言われている海。
標高452mの低山とは思えない景色に、
腰に手をやり、いつまでも眺めていたくなる。
っと今気づいたのだが文章の傾きを見てほしい。
この10行ほどで、山の形に文字が連なっている。
わざとやった訳ではなく、いつのまにかできあがってた。
つまり、「こんな形の山でしたよ」と教えてくれているのだ。
ということで、山頂から与那覇岳を見つけ、向かったのでした。
板根