
沖縄のスーパーで、こんなモノを見つけた。《ココナツ丸まま》
お品書きを読んでみると、付属のストローを差し込んで、
生のココナツ液を飲むのだそうだ。
まず、おおっているビニールを剥がす。
なるほど、長さ15センチ直径8ミリほどのストローがあった。
ココナツの大きさは直径14センチ。
色は薄い黄なりで、上部をすこしだけ削いである。
説明を読むと、そこにストローの先端をグリグリして、差し込むらしい。
ならばと、らしいグリグリをやってみる。
ふむ、表面は柔らかく、しばしのグリグリで、小さな穴があいた。
ここぞとばかり、ストローに突進してもらう。
どうやら内部は洞窟のように広い空間があるようだ。
どんどん沈めてゆくと、恐らく最深部の底に、コツンと着いた。
「ここで行き止まりで~す」
探検隊の先鋒が、アクアラングマスクごしに情報を伝えてくる。
よし、吸ってやろう。
口を近づける前に、おおきな深呼吸をする。
水中に沈み込む覚悟のようなものが芽ばえる。
なんせ生ココナツジュースは始めてだ。
ちゅう~
ストローが通常のモノより太いので、思いのほか吸引力がいる。
ちゅう~~~~
ん・・・?
想像していた液体と違うモノが口の中に届いた。
私はココナツミルクのような、甘い滑らかなモノを期待していた。
果たしてどうだろう?ひとことで言えば――
《木の汁》
樹木の中からあふれ出てくる樹液のような感じ・・・
甘くはない。
ジュース独特の、なにかを加工された趣もない。
あくまでロビンソン的であり、クルーソーを連想させる。
ひと口目は驚きであり、ふたくち目は飲み物として飲んだ。
その時に思い至った。
私はスーパーで買って、ホテルの部屋で飲んだ。
これが間違いなのだ。
飲むべき場所は、外の太陽がサンサンと降りそそぐ野原にしたい。
いや海辺がよいだろう。
喉がカラカラの時に、フライデーがヤシの木に登り、
採ってきてくれたのである。
「ありがとう」
ココナツのアナにストローを差し込む。
いざ!
チュウ~~~~~
ヤシの樹木の生命を注ぎ込まれている。
ゴウゴクゴク
生き返るという言葉を、クルーソーは噛みしめる。
ホテルの部屋で吐いていた感嘆詞「はぁ~」が、
ここでは、「ウオォ~」に変化するだろう。
額の汗を片手でぬぐい、青き広い海を見て口ずさむ。
「♪~なもしらぁ~ぬ~遠きしぃまより~♪」

こちらは、パパイアの樹