離島に旅する時、プロペラ機に乗るときがある。あのプロペラは、いわゆる昔のプロペラ機ではない。
ジェットエンジンで、プロペラを回している。
だから、理屈的には、全部ジェット飛行機と言っていいのではないか?
身勝手な注文をつけている。
そのプロペラである。
機内で真横の席になると、アレが思いっきり回っている様は、怖い。
もし千切れて飛んで来たらと考えると、気が気ではない。
その上、風をきる轟音はすさまじい。
実際、パニック映画では、アレがふっとんできて、
飛行機の金属を引きちぎるサマを、CG映像で、
まざまざと見せてくれている。
その恐怖の席で、デジカメを向けた。
写真を撮ろうとしたのだ。
すると・・・もの凄い速さで回っている筈のプロペラが、
画面の中では、ゆっくり回っている。
4秒ほどで一回転している。
これは、デジカメの解像の設定なのだろうか?
今は、映像を撮ってみようとしているのではなく、
写真を撮ろうとしているのに、プロペラの動きがカメラと同調している。
自転車の車輪が、高速になると、反対回りに見えるのと同じ原理で、
周期の短片が重なって、ゆっくり回っているように見えるのである。
エンジンの出力を上げれば、やがて、
反対回りも見えるかもしれない。
サンゴ礁だのラグーンだのの撮影に、プロペラが、
遠近感にひと役かっている。
プロペラ機は怖いという人もいるが、私はむしろ好きだ。
一生懸命働いているという仕草が、好きなのである。
ジェット機と違い、
「エンジンが止まった」瞬間が誰でも分かる、いい奴なのだ。