《ハイライナー》という人たちがいる。ハイラインを渡る人という意味だ。
ハイラインとは、何?
山の中の高い所に、一本のロープを張り、いわゆる
《綱渡り》をするのである。
ここで、綱渡りの難易度について、解説をしよう。
(その昔、サーカスに居た私の知り得た知識)
綱渡りの危ない順番を書きだします。
楽な方から順番に――
① 金属の棒の上を歩き、両手に長い横棒を持っている。
金属の棒は揺れないので、ふらつきがない。
長い棒が左右のバランスをとってくれる。
② ロープの上を棒を持たずに歩く。
ロープはどんなにビンビンに張っても、少したわむ。
すると揺れる。その上、横棒がないと、
バランスは自分の感覚だけになる。
③ たるんだロープをただ歩く。
ロープに張りが無いと、揺れは激しい。
自分が揺れの原因をつくりだす。
しかも最初と最後は坂道になる。
(駐車場にある、たるんだクサリを渡ると思えばよい)
この3段階を書いてみた。
ハイラインは、③である。
もちろん、ロープをピンピンに張っているのだが、なんせ距離が、
とてつもなく長い。
数100mもある。
当然、ピンピンが、ビヨ~ンほどになる。
つまりタワンでいる。
さすれば、横揺れはいかばかりか――
ロケーションは、アメリカなどの岩塊地帯。
キャニオンなどと名付けられている場所。
落ちれば、数100m落下となる。
いや、落ちないように、命綱はつけている。
いるものの、その恐怖感やいかに!
いまや、その綱渡りの最長距離は1キロを超えている。(たぶん)
究極のタイトロープでの緊張の時間を考えれば、
異常とも言える長距離だ。
タイトロープ(つな渡り)は、究極のインナーマッスル運動である。
全身の筋肉が、完全に連動していなければ、成り立たない。
それに加え、視力と集中力、そして、恐れぬ心。
その昔、サーカスでは、命綱も落下防止の網もなく、
渡っていたものだった。
そして、かなしいことに、落下する演者もいた。
遥か10mほどの下の地面で、それを見ていたものだった。
「綱渡り」という言葉が、いまでも、話しの比喩に使われるのは、
死を賭してまで挑戦している状況を表している。
現代のハイラインの勇者たちは、死を近づけない為に、
命綱をきちんと付けている。
それでも、やっている事がやっている事だけに、
命にかかわることに変わりはない。
ヒリヒリする感覚に、すべてを投げ出していると言っていいだろう。
なぜ、今日この話をするかって?
それは、ふと思ったのですヨ。
その昔の若い頃に、ハイラインという競技(遊び)があったとして、
私が、チャレンジするかどうかを、自分に問うてみたのだ。
サーカスの綱渡りを毎日見ている私がである。
・・・・・・たぶん・・・・・・・・・・・・・・
現場を見にいく・・・そして・・・・・・・・・・
やっている人達の性格を知ろうとする・・・・
・・・・そして・・・・・・・・・
こんなに、点々を打っているのだから、
こりゃ、やらんナ。