このコーナーで、4年半前こんな事を書いていた。 《絵を描きたい 》 2017年8月31日
それから4年半が経った今、なぜなのか絵を描いている。
白黒の墨絵だが、絵に違いない。
絵を描きたいという気持ちは常にあったようだ。
だが余計なモノが邪魔をして、絵筆をとらなかった。
余計なモノとは、虚栄心や自尊心といった創作活動を妨げるもの。
あるいは、よそさまの目も、それにあたる。
そんなモノが気にならなくなると、素直に絵筆を握れる。
どうせ、たいしたもんじゃなかろう。
誰に叱られる訳でもなし。
絵を売るわけでもなし。
とはいえ、私の場合は、岳人の《野筆を片手に》という連載の中に、
絵を発表しているのだから、厳密にいえば、売っていることになる。
たとえ1円でもサイフに入れば、それは売ると言われる。
そして、現在墨絵の個展を催してもらってもいる。
4年ほど前には想像すらしていなかった事態。
さらに、個展開催中に最新作を描いて持って行ったりしている。
最新作は、88×64センチの大きな絵であり、
副題は(視野をひろげる)
すでに描いた山の絵の視野を拡げたらどうなるか?
これまで観ていた絵の周りの景色を描く。
元の絵の縮尺(24×14)は変えずに、その周りがどうなっているのか、
知ってもらおうと言うのだ。
絵や写真は風景を切りとって、見せている。
その切りとった周りが気になる。
気になるなら、いっそ公開してしまおうと言う算段。
映像の世界では、だんだん近寄ることを《ズーム》といい、
その反対は、《ひく》と言う。
風景をひいて見る。
今回のひきは、かなり頑張ってひいてみた。
しかし、ひこうと思えば、まだまだひける。
もしもっとひいた場合、とてつもなく大きな画用紙が必要となる。
いまのところ、画材屋さんには、そこまで大きな画用紙はない。
となると、昔の人のアイデアをいただくしかなくなる。
《襖絵》
何枚もの画用紙に絵を描き、並べるという手法。
おそらく昔ビトも大きな絵を描きたかった。
しかし、さほど大きな紙を作れなかった。
たどりついたのは、並べるという考え方。
油絵であれば、大きなキャンバスはできる。
自分でキャンバスを買ってきて作ればよい。
作り方は、高校の頃に、自作していたのでできる。
しかし、墨を適度に吸ってくれる画用紙はそうはいかない。
規格外のモノは、おそらく無い。
発注という難しい部分に踏み込まなければならない。
それに今の所、そんな大それた考えもない。
いったん、元のスケッチブックを片手に野に出るとしよう。

《剱岳長次郎谷》24×14センチ
この周りの風景を観てみたければ「うみべのえほんやツバメ号」さんへ
ただし、絵本屋さんなので、静かに見せてもらいましょう。