《いちご狩り》たけなわである。いちご園の近くに、送迎バスが着くと、子供たちを先頭に、
お母さんらが、わんさかとび出してくる。
ビニールハウスの前で、料金を払い、簡単な説明を受けると、
コンデンスミルクがちょこっと入った器片手に、
甘い香りの園へ歩き出す。
こころは、口いっぱい頬張りたい、腹いっぱい食いたい。
いや、体中に詰め込みたい。
料金に換算すると、さっき払った3倍は詰め込みたい。
いちごが並んでいる棚を眺める。
最近は、座ってモグのではなく、立ったままモゲるようになっている。
ヒザが固くなった年配者には嬉しい。
さて、最初の一個を探す。
食べ物とは何でもそうなのだが、最初の一口が一番うまい。
フレッシュさに、味覚が反応する。
真っ赤に熟した大ぶりなひとつを、コレだと決める。
モグ。
ん・・・?
私は、いま、モイだ。
モグでいいのか?
たしかココは、いちごガリじゃなかったか?
とすると、狩ったと言うべきだ。
少なくとも、今だけは、「ガリ」で進めるべきだ。
まてよ・・・
いちごは狩るものだろうか?
赤い実を、細い緑の枝から、プチッとモグ、もしくは摘む。
プチッと狩るでは、あまりにも大げさではないか?
狩るとは、ライオンがシマウマを狩るとか、
豹が、ヌ~を狩るとかの場合に使う言葉であって、
かなり頑張って、ウサギ狩りあたりが、限界の言葉使いだ。
いちごのようなケーキ系のモノを、「狩る」と名付けたのは、なぜ?
(いも)掘り、(お花)摘み、(だいこん)抜き、(レンコン)堀り、
(なし)もぎ、(栗)ひろい、などなど、観光農園がある中で、
「狩り」と名のつくものが圧倒的に多い。
特に人気の農園モノは狩りと呼んでいる。
いちご狩り、みかん狩り、桃狩り、サクランボ狩り、
ブルーベリー狩り、ブドウ狩り。
争奪するイメージがあり、興奮するからだろうか?
たくさん狩っても、やましさを感じないのがいい。
狩りすぎたと、責められないのもいい。
大量消費したじゃないかとの、うなだれる気持ちも湧かない。
節分に年の数だけ豆を食べてよいとの言葉を信じ、
年の数だけ、いちごを食べようとしたが、
もはや、エイジシュートは叶わなくなってきた。
もし、叶えたいのなら、こぶりなモノを選ぶべきである。
そして、緑のヘタだけを器に残して、ハウスを出た。
げっぷ