~~昨日の続き~~ ホテル朝食バイキングを語り始めたところで紙面が尽きた。
そういえば、このコーナーでは、時折、
《紙面が尽きた》と言って、私が突然いなくなる。
ずるい逃げ方と言える。
紙面が尽きたとは、
作家の方たちが、それ以上書き進めなくなった時とか、
わざとそう書いて、余韻を残すとかの時に使う手法。
私の場合は、時間がなくなったのである。
早朝とはいえ、仕事に向かう時間が迫っている。
アイデアは湧いてくるのだが、なんせもう出かけなくてはならない。
苦渋の結果、紙面を持ちだす。
ということで、昨日のつづきとなる。
ホテルの朝、エレベーターが行き来しだす。
6時30分のバイキング開始時間が待ちきれず、
朝から会場前に並んでいる人が、数人いる。
ドアがあくのを、そわそわしており、1分でも開場が遅れると、
ドアをノックしている。
彼らは、ホテル泊まりのプロであり、
朝食バイキングの手練れでもある。
手の消毒のしかた、手袋のはめ方の早さ、
トレイに置く皿の位置と、食料摂取の選び順にこだわりがある。
足音を立てない足の動きにも熟練が感じられる。
摂るモノへの迷いはない。
まるで、日々それを摂っているかのような素早さがある。
たとえば、スクランブルエッグを大きなスプーンで掬う際に、
回りにこぼしたりしない。
二度掬いすらしない。
スパゲッティを取ったトングに、スパが一本残ったとしても、
振って落としたりしない。
そっと皿のフチに当て、すばやく落とす。
カレーを注ぐ際にも、したたりはない。
ジュースバイキングでは、素早い動きでミックスジュースを作り上げる。
ヨーグルトにかけるシロップの選択も、
イチゴ、ブルーベリー、キイウイの中から、迷わずひとつを選ぶ。
驚くべきは、一枚のトレイに、すべてを載せている。
(私のように、2枚使ったりしない)
グルリと巡る時間は3分以内ですましてしまう。
爪楊枝のある位置を見つけるのもうまい。
係員に尋ねることが何もない。
スプーンを忘れただの、一度座ったら最後まで立たない。
当然のことながら、食べ終わった後、テーブルに置いてある、
「退席の際は、裏返してください」
と表示してあるカードを、きっちり裏返していなくなる。
その時、係員に対し、初めて発する言葉が・・・
「ごちそうさま、おいしかったです」

プロになれない私の場合