《中川大輔八段》将棋の棋士である。
棋士としては珍しく、山をこよなく愛する登山家でもある。
30年来、八段の対局を観てきた。
昨今はやりの研究漬けよりも、
感覚でねじ伏せる戦いが魅力である。
先日、NHK杯の第一回戦が行われ、テレビ放映された。
《中川大輔VS屋敷伸之》
屋敷九段といえば、いま大躍進の藤井聡太七段が登場する、
はるか前、19歳で棋聖の称号を獲得した天才である。
30年近くその記録は、藤井聡太に破られるまで輝いていた。
この二人の戦いとあって、テレビにしがみついた。
序盤、いきなり、中川八段が奇策にでる。
《2三玉戦法》
最近トンと見ない昭和の戦法である。
もはや、誰も指さない戦法と思われていたのだが、
なぜか、その道に踏み込んだ。
最近、似たような戦法ばかりで、テレビの将棋対局に、
飽きがき始めたところに、まさに《温故知新》!
最終版に近づいたところで、滅多におきない場面が!
《駒柱》こまばしらが立った!
将棋盤の縦のラインに駒が埋められたのである。
つまり、9枚の駒が縦にならんだ。
どれくらい珍しいかと言うと、テレビの将棋対局を一年間観ていて、
一回あるかないかだ。
アマチュアでは、おそらく駒柱は立たない。
プロがプロたるゆえんの現象と言っていいだろう。
そして、見事勝ち上がったのである。
喜ばんことか!
中川大輔八段が単に勝ったから喜んでいるのではない。
お客さんを喜ばせて勝ったことに価値がある。
見せる将棋、魅せる将棋をおひろめしてくれた。
さて、トーナメントを二つ勝ち上がると、なんと
藤井聡太五冠王に当たる。
ぜひ、勝ち上がって、
おおいに将棋界を盛り上げていただきたいものだ。
秋くらいになるのだろうか・・・楽しみである。